2012.02.01 Wednesday
“村の占い師”から第8場“パントミム” ジャン=ジャック・ルソー
今日はジャン=ジャック・ルソー※(1712〜1778)の“村の占い師”から第8場“パントミム”だよ
※ ルソーの故郷ジュネーブのルソー島のルソー像
“Île Rousseau, Geneva”へ“ジャンプ”!
“村の占い師”は脚本・音楽ともにルソーが作った全一幕の歌劇
初演は1752年10月18日のフォンテンブロー宮殿で
翌年の3月1日にはパリ・オペラ座でも演じられ
これが大変気に入ったルイ15世(1710〜1774)はルソーに終身年金を与えようとしたんだけどルソーはそれを断ったんだって
啓蒙思想家ルソーの面目躍如たるところだね
このオペラはルイ16世(1754〜1793)※とマリー・アントワネット(1754〜1793)の婚礼の席でも上演されたらしいよ
※ 結婚式当時は王太子
そして
1753年9月26日、このオペラのパロディーである“バスティアンとバスティエンヌの恋”が宮廷喜歌劇一座によって上演され
このパロディーのテキストがモーツァルトの“バスティアンとバスティエンヌ”※の台本の元になっているんだ
試聴はこちら
NML番号0091292BC
※ “パントミム”のメロディーは出てこない
モーツァルトの作品では“フィガロの結婚”に“パントミム”の
メロディーに似たものがチラッと登場
試聴はこちらでDisc2の4番をクリック!
NML番号8.660102-04のDisc2の4番
(2分34秒頃)
で、フランスではパントミムのメロディーを元に“J.J.ルソーの新ロマンス(Nouvelle Romance de J.J.Rousseau)”※という歌曲が誕生
※ 幸福の島で見た夢の中で理想の女性との逢瀬を楽しむの
だが夢から覚めて嗚呼ガッカリという内容
他方
ドーヴァー海峡を渡った“村の占い師”はチャールズ・バーニー(1726〜1814)により英語に翻訳され“知恵者(The Cunning Man)”というタイトルで1762年にロンドンで上演され
後にパントミムのメロディーを使った“メリッサ(Melissa)”※という歌が流行
※ 恋人メリッサがいなくなってしまって嗚呼悲しい
という内容
さらに時代は下ってヨハン・バプティスト・クラーマー(1771〜1858)が1812年にロンドンで“ルソーの夢(Rousseau's Dream)”を出版※
※ クラーマーは“村の占い師”“新ロマンス”“知恵者”
“メリッサ”のいずれにも直接触れる機会があったと
思われ、どれを元にしたかは定かでないが
少なくともタイトルは“新ロマンス”の歌詞と親和性あり?
そうそう
クラーマーの“ルソーの夢”のテーマを使った変奏曲は多くの作曲家によって作られていてYouTubeのRousseau's Dream※が誰の作品であるかは不明
※ 当然のことながら“F. Schubert”とあるのは歌曲王
シューベルトとは別人
で、これはAhnさんのオリジナル?
その後
“ルソーの夢”は再びドーヴァー海峡を渡ってフランスへ
いくつかのヴァージョンの“ルソーの夢(Songe de J.J.Rousseau)”が出版され
ルソーが1762年からの約3年間を過ごしたモティエ※1のルソー記念館ではいずれかの版のイラストに使われたと思われる銅版画※2を見られるよ
※1 “Motiers Switzerland”へ“ジャンプ”!
※2 版画には杖と植物を手にしたルソーと思しき人物が登場
さらに
このメロディーは賛美歌や民謡として世界に広がり
日本へは明治時代にアメリカ経由で伝わり
古今集の素性法師の歌を元に“見渡せば青柳”という歌詞が作られ
後に軍歌になったこともあったけど
第二次大戦後は“むすんでひらいて”の歌詞で皆に歌われるようになってるね
今日の記事のタネ本↓
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